2013年6月21日金曜日

「DTPの勉強会 第10回」のまとめ:『和欧混植』の定義は「和文 = 主」「欧文 = 従」


『DTPの勉強会 第10回』に参加してきました。
今回のテーマは『和欧混植』です。

★メインセッション:和欧混植
スピーカー:木枝 祐介さん(TwitterID:@p_typo
      制作会社勤務。
外国語論文誌や理系書籍等の組版に従事。
○内容
和欧混植に関連する事項を基礎的なところから解説
・和欧混植とは何か
・和文と欧文の構造
・アキと揃え
○キーワード:和欧混植・ベタ組・レタースペーシング・ワードスペーシング・プロトリュージョン・マイクロタイポグラフィ

サブセッション1:Acrobatの意外かもしれない校正方法
スピーカー:朋ちゃん(TwitterID:@tomochan_1974
○内容:
Acrobatのどのバージョンでもやれること、X以降ならではのこと。
校正する時・される時に、よく使っている機能や気をつけている点の紹介

サブセッション2:ちょい足し、Adobe DPS
スピーカー:クロチョコさん(TwitterID:@kurochocon
○内容:
URLスキームやWeb技術を使った、ちょっとだけリッチなFolioの作り方の紹介

「『和欧混植』とは、和文を主とし欧文を従として混植を行うことである。」
というのが、スピーカーである木枝さんの「和欧混植」の定義です。
和文と欧文をそれぞれに美しく読みやすく組むだけでも難問ですが、両方を混在させるのはまた更にハードルが上がります。今回はそんな「和欧混植」についての考え方、捉え方、扱い方、注意点等についての講義でした。

その中で最も印象に残っているのは、「読者にとってそれが幸せであるか」と考えること。「読者の誤読を避ける」ということ。それ以外に、「和欧混植」をする理由はないとお話しされていたことです。これは「和欧混植」に限らず、デザインにも該当する大切なポイントになります。

そして講義の中で、明らかな正解というものはないということも理解できました。「和文」と「欧文」それぞれの組み方に間違いがないというのは前提となりますが、その中で見た目の美しさとバランス、視認性や可読性を追求することが「和欧混植」の重要ポイントであると感じます。

そのテクニックのひとつとして、「濃度を揃える」というものがありました。
「和文」は濃度を揃えず、「欧文」は濃度を揃えるというものです。「仮名」は薄く、「数字」や「アルファベット」が揃っているところは濃くなりますので、濃度のコントロールが非常に重要となってきます。また「和文は点」「欧文は面」と考えると、「仮名」よりも濃いが「漢字」よりも薄いという基準もあります。

「すべては書体のマッチング」で、版面全体での考察だけに留めず、すべてのページ全体での考察は必須だということでした。確認方法としては、じっと見るのではなくボーッと見たり、天地を逆にしたりする等、いつもと違う状態にすることで気づくこと、確認することができます。

たとえ正解がないものであっても、こういったテクニックを知り、より正解に近いデザインを決定していかなくてはなりません。「読者にとってそれが幸せであるか」を前提に、文字の扱いに注意し、その時々の媒体に相応しいデザインする重要性を改めて、確認しました。

『欧文書体 その背景と使い方』『欧文書体2 定番書体と演出法』『欧文組版 組版の基礎とマナー』『文字の組み方 組版/見てわかる新常識』
「和欧混植」を専門に扱った本は現在出版されていないようですが、欧文書体と欧文組版については『欧文書体 その背景と使い方』小林章 著(美術出版社)『欧文書体2 定番書体と演出法』小林章 著(美術出版社)『欧文組版 組版の基礎とマナー』髙岡昌生 著(美術出版社)が良書です。『文字の組み方 組版/見てわかる新常識』大熊肇 著(誠文堂新光社)では、一部「和欧混植」についても触れられています。


前回参加した『DTPの勉強会』の記事はこちら

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