2014年4月26日土曜日

ビジュアルベースコミュニケーションとしてのツール「Pinterest」:『Pinterest デザインミートアップ』に参加しました。


ピンタレスト・イベント『Pinterest デザインミートアップ』

4月24日に「クリエイティブスペースamu」で開催された、「Pinterest」のイベント『Pinterest デザインミートアップ』に参加してきました。

今回は、ピンタレスト・ジャパン株式会社・代表取締役社長の定国直樹さん、コミュニティマネジャーの山口結花さん、デザイン会社(コンセント)のデザイナー4名が登壇されました。

「Pinterest」は招待制の時から使っていて、今も変わらず愛用しているツールです。アメリカでは女性の5人に1人が使っているそうですが、日本では一般に公開されてからもあまり普及していないようです。日本語版の運用を開始したのが昨年の11月12日なので、いよいよこれからという感じでしょうか。

まず最初にお話があったのは、「Pinterest」は写真共有サービスではないという事でした。そして構造は「Facebook」のようなソーシャルグラフでもなく、「Twitter」のような「インタレストグラフ」になっているそうです。現状の有名サービスでは、「Tumblr」や「Instagram」に比較的近いのかもしれません。

「Pinterest」のミッションは、「世界最大のインタレストグラフを形成する」というものだそうです。そのため、リアルの友人・知人とつながるのではなく、興味の対象や価値観の一致するボードをフォローし、インスピレーションを得るという形になっていて、その形こそが「Pinterest」最大の魅力であると感じます。

実際の使い方としては、「発見から実現へ」と、漠然としたアイディアや構想を具体的にまとめていくのにも役立つことがわかりました。プライベートでは、ベランダのガーデニングやウェディングパーティ等、ビジネスではプロジェクトのイメージ共有等の事例が紹介され、様々な使い方の可能性が感じられます。

Pinterest ・UI・UX・デザイン
「Pinterest」の UI/UX デザイン

あまり知られていない魅力的な使い方は「検索」です。同じ単語で検索しても、Googleの画像検索が玉石混淆なのに対し、「Pinterest」の画像はすでに選ばれたものが表示されるので、クオリティの高い写真を一覧することができます。そしてその中から気に入った画像をひとつのボードにまとめることもできますので、ビジュアルベースコミュニケーションには最適なツールともいえます。

以前、アメリカ本国の「Pinterest」の成功は、アメリカの女性ユーザーがショッピングに使った事が大きいという記事をを読んだ事がありましたが、自分が「Pinterest」経由で買い物する事はあり得ないと思っていました。しかし、この検索のクオリティを目の当たりにすると、アメリカ女性の気持ちが少なからず理解できるような気がします。

現在アメリカでは、購買につながるトラフィックとしては、1位が「Facebook」、2位が「Pinterest」、3位が「Twitter」だそうですが、購入額平均では、「Facebook」の70ドルに対し、「Pinterest」は、170ドルだそうです。2倍以上の購入額平均をマークする理由には、商品が魅力的に見えるサイトデザインとUI/UX(ユーザー・インターフェース/ユーザー・エクスペリエンス)によるところが大きいのではないかと思います。

ただ、「Pinterest」としては、ECに特化するつもりはなく、ユーザーの方には様々な使い方を楽しんでいただきたいそうです。ショッピングなどのビジネス面だけでなく、ひとりひとりが魅力的なボードを形成する事が、「Pinterest」の魅力を高める事につながるからでしょう。

逆に言うと、日本ではその部分がハードルになっているようです。登録すれば楽しめるものではなく、自分でボードを作って育てていかないといけないわけですから。そこを超えると「Pinterest」の魅力を感じる事ができるのですが、何が面白いのか分からなく、止めてしまう人が多いようで非常に残念に思います。

ビジネスでの優れた使い方としては、アメリカのデパートでのバッグのプロモーションが紹介されました。「なぜこのバッグがこの形でこの色になるのか」、バッグそのものだけではなく、インスピレーションを与えるもの、同一カラーのもの、そのバッグがある風景、美しくスタイリングされた写真等が並んでいます。このような魅せ方は、「Pinterest」の得意とするところでしょう。

私はグラフィックデザイナーという仕事柄、「Pinterest」ではデザインのボードを多数作っていますが、様々な国のデザイナーのボードを見るのも多くの発見があります。「Pinterest」を好きな理由のひとつに、「世界中でフラットにつながっていることを感じられる」というのがあります。言葉が通じなくても、1枚の魅力的なビジュアルでつながることは、想像以上に楽しいものでした。そしてまだまだ「Pinterest」には可能性を感じているので、今後も期待しています。


●私の「Pinterest」アカウントはこちらです。
 ※母の日のボードは、今回のイベントで使用した「共有ボード」です。


Pinterest ・バッグ・Tシャツ・ステッカー・デザイン
イベントでいただいた、バッグ・Tシャツ・ステッカー2種。



グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM





───────────────────