2013年4月11日木曜日

『DTPの勉強会 特別編・第3回』:透明とオーバープリントについて押さえておくべき知識


『DTPの勉強会 特別編・第3回』に参加してきました。
今回のテーマは『制作者のための「正しく刷れる」データ制作のポイント』。

スピーカー:松久 剛さん
大日本スクリーン製造株式会社 メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー ソフトウエア商品開発部)

★内容
『制作者のための「正しく刷れる」データ制作のポイント』
・自己紹介/会社紹介
・透明とオーバープリント
・特色指定を正しく
・ストローク処理
・色空間(カラースペース)
・印刷できるPDF「PDF/X」
 (Adobe PDF Print Engine 2)
・出力解像度
・RIP(Raster Image Processer)による違い

フリーランスになってから、版元さんをはじめクライアントさんに入稿する機会が増えました。同時にどこで印刷されるのかかわからない(決まっていない)ということも増えました。そのためどこで印刷しても大丈夫なデータ制作を心掛けています。ソフトや製版現場は変わり続けていますので「このデータ制作方法で最良なのか」と注意を払っておく事は非常に大切な事でしょう。

今回の主な内容は「意図したデザインで仕上げるためには、製版指示もデザインの一部と考える」というもので、様々な効果や事例についての講義となりました。「透明とオーバープリント」では、透明効果は新たなデザイン手法で、オーバープリント(ON=ノセ・OFF=ケヌキ)は製版指示の一種だという説明がありました。(透明とオーバープリントは別物なので分けて考えた方がいいですね。)

スピーカーの松久さんの提案は、『ノセ活き』という考えのもと
「オーバープリント指定を活かし、
 自動墨ノセを行わず、
 データ通り処理すること」
でした。自分で正しく設定したデータを制作し、入稿する際に『ノセ活き』と伝えるというものです。この方法だと製版結果までコントロールし、データ通りの出力結果になりますね。(データ制作上の責任が伴うので注意が必要ですが…。)

以前、墨ベタのものは「自動墨ノセ」にするので「印刷会社によってはオーバープリントを無視する」と聞いたことがありましたが、これは印刷に詳しくない方が制作したデータの救済措置としてのものなのだそうです。正しく理解した上で設定できるならした方がいいし、設定されたものを無視して印刷されることはないということでした。ですので注意しつつ、今後もオーバープリントは自分で設定しておくことにします。

その他「様々なトラブル事例」「特色を使用する際の注意点」「DeviceNとDeviceCMYKの比較」「PDFの規格について」「CS3以降がなぜいいのか」「オーバープリントの昔と今」「従来のRIP・イマドキのRIP」といったトピックも議題として挙がりました。事例をたくさん見せていただいたので非常に明解です。

「アピアランス」や「線にグラデーション」など、限界に挑戦した(!?)Illustrator 出力実験の結果も興味深いものでした。かなり複雑なイラストも大丈夫なようで、極めればアイディア次第でいろいろ使えそうですね。出力に負荷のかからないデータ制作を心掛ける必要はありますが、比較的、新しい機能をデザインにどこまで取り入れて使うかという見極めも大切だと感じました。

今回、何人かの参加者の方々と最近の入稿の仕方について情報交換をさせていただきましたが、様々な現場で様々な入稿形態があって面白いですね。入稿先が古いルールを採っている場合は Illustrator のネイティブデータにEPSの画像など未だにあるようですし、あえてそれを選んでいることもあるのか、なかなか興味深いところです。印刷会社や制作現場の環境は現実とのせめぎ合いとなりますので、良くも悪くも実に多様ですね。

私の考えでは、一番確実なのは入稿先である印刷会社さんに直接聞くことです。私も必要な場合には連絡先を聞いて問い合わせますし、それが不可能な場合は、出力環境に依存しないデータを目指して制作しています。今回の勉強会の内容は、現状の答え合わせと再確認として、ぜひ今後に活かしていきたいものでした。

SCREEN『EQUIOS』パンフレット
『EQUIOS』をはじめ、今回配布されたパンフレット。

出力に関しての情報がまとめられているサイト

 (2013年4月6日開催)

前回参加した『DTPの勉強会』の記事はこちら

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