2012年2月22日水曜日

正義と云う名の病:『J・エドガー』を観た。


クリント・イーストウッド監督最新作
『J・エドガー』を観てきました。

これはFBIを作り上げた、FBI初代長官の
J・エドガー・フーバーについての映画です。
彼はアメリカ大統領でさえ及ばない権力を持ち、
48年もの間、国を裏で動かしていました。

この作品では、彼のパブリックな部分より
プライベートに焦点を当て、
英雄であるよりも謎に満ちた内面の方を
中心に描いています。

だから観客は自分自身で
それを解釈しなければなりません。

アメリカ人であれば自然に理解できそうな事も、
日本人である自分には解りにくい部分もあり、
難しい映画でした。

私はイーストウッドが
「なぜ今この題材に興味を持ったのか」
ということがとても気になります。

「観客が自分たちが思うように解釈すればいい」
とイーストウッドは言っていましたが、
すべての表現は少なからず時代を反映しています。

斎藤環さん(精神科医)のレビューには、

「彼の複雑さはアメリカの複雑さであり、
その病理の一部は、現在もなお受け継がれている。
イーストウッドは、一人の男の生涯を通じて
『アメリカそのもの』を描こうとしたのだ」

と記されてありました。
(このレビューに少しヒントをもらった気が…。)

テレビは頭を休めるためにありますが、
映画は観客に問いかけるメディアです。
つまり、本作は真に映画作品です。

J・エドガー - オフィシャルサイト
J・エドガー - goo 映画