『2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキ・オカ アルチザン)』は、JR秋葉原~御徒町駅感の高架下にある「ジェイアール東日本都市開発」が運営している商業施設です。2010年12月10日にオープンしてから、今年で3年を迎えました。
この商業施設が面白いのは、従来の商業施設とは異なり、「ものづくり」を行うクリエイターが、工房と一体となった店舗を構え、全く新しい形で運営されている点です。また、決して立地が良いとは言い難い「高架下」という場所を活かすことにより、独特の雰囲気を持った趣のある空間にリノベーションされていました。2011年には、施設が「グッドデザイン賞」も受賞しています。
ウェブサイトには、
かつて御徒町周辺は、江戸の文化を伝える伝統工芸職人の街でした。現在もジュエリーや皮製品を扱うお店が数多くあり、職人の街の印象を残しています。けれども昨今、時代とともに、変化する人々の感性やセンスが望むものに対して、満足な答えを用意出来ていなかったのではないでしょうか。
このところ、東京の東エリアがおもしろくなってきています。ギャラリー、工房、カフェ、ショップなど、角度の高いセンスとクオリティをもった人々が東エリアに移りはじめているのです。この流れを背景に「ものづくり」をテーマとした施設が、御徒町エリアに登場します。工房とショップがひとつになったスタイル、ここでしか買えない商品、ものづくりの体験が出来るワークショップなど、さまざまな個性あふれるお店が集まります。
単にモノを売るだけではなく、生活スタイルの提案ができるお店です。
御徒町エリアは、「職人の街」から「2k540 AKI-OKA ARTISAN」として生まれ変わります。
とあります。
日本百貨店
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コンセプトは、
・新たな人の流れをつくる
・「結ぶ=Link」をテーマに有効利用
・人とヒトを「結ぶ」…> 社会貢献活動の拠点となる
・過去と現在を「結ぶ」…> 高架下の新たなブランド価値を創出
ということで、「ものづくり」を中心とした「ヒト」と「場所」について、大切に考えられた施設になっていました。「ものづくり」をベースにした様々な広がりと可能性も感じられます。
やなか珈琲店
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近年、東京の東エリアには『2k540 AKI-OKA ARTISAN』をはじめ、クリエイターが集うギャラリーやショップが多数オープンしています。どこもオリジナリティある店舗づくりが施されていて、「ここでしか買えない商品」や、「ここでしかできない体験」は、価値あるものになってきました。
大量生産ではない「ものづくり」は、お金も時間もかかるものですが、似たようなショップやチェーン店が増えている今、「この人から買いたい」や「この体験を持ち帰りたい」という想いは、益々大切なものになっていると感じます。
「つくり手の顔が見える」というのは変わる事なく大切で、こうして交流できる「ヒト」と「場所」の重要性を、ネットが主流になった今、改めて感じることができました。『2k540 AKI-OKA ARTISAN』は、それらを実現したカタチのひとつとなっています。
カプセルトイ(ガチャガチャ)の自販機も
施設に合ったものになっていました。
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情報を無批判に鵜呑みにするのではなく、本当に必要とされているもの、本当に大切な事を商品やサービスにして提案する為には、考えを徹底的に突き詰めなければなりません。
その結果としてデザインは生まれてくるものであり、だからこそ、「デザインは問題解決の手段」となるわけです。
『2k540 AKI-OKA ARTISAN』は、「結ぶ」という事にフォーカスした企画ですが、プロのデザイナーであればそこで提案される「商品」や「体験」や「サービス」というコンテンツだけではなく、企画された方のコンセプトというカタチの見えない概念にこそ、注目しなければならないと思います。
「こういうコンセプトなんだけど、それをどうカタチにしていいのかわからない。このままでは」という問題に対してカタチを示す事、サービスや体験というカタチのないものに対して、わかりやすいカタチを作って企画者と顧客をつなぐ事もまたデザインの仕事なのです。
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グラフィックデザイン:DESIGN + SLIM