「DTPの勉強会 第8回」に参加しました。
今回のテーマは「カラーマネージメント」。
スピーカー:島崎肇則さん(@kar_kador)
聴き手:やもさん(やもめも)
あかつきさん(あかつき@おばなのDTP稼業録)
★内容
「カラーマネージメント ~DTP・製作現場を中心に~」
1. 環境について
1-1. 光源と色の見え方
1-2. 環境の整備
2. ディスプレイについて
2-1. ディスプレイの種類
2-2. 調整の目標値
2-3. キャリブレーション
3. プリンタの調整
3-1. プリンタの種類
3-2. RGB プリンタの調整
3-3. CMYK プリンタの調整
4. データの取り扱い
4-1. CSのカラー環境設定
4-2. Photoshop
4-3. InDesign/Illustrator
カラーマネージメントとは、ディスプレイに表示される色、プリンタに出力した色、印刷した色など、異なるデバイス間の色をできるだけ同じ色に近づけるためのシステムです。今回はこのカラーマネージメントシステムの概念から実際のワークフローについて、すぐにできそうなことからここまでやればほぼ完璧というものまで、幅広く説明されました。
全体で見ると、ざっとこんな感じです。
1. 室内の照明(蛍光灯)の整備
2. 作業スペース・デスク周辺の整備
3. ディスプレイの選び方
4. ディスプレイの調整
5. プリンタの調整
6. アプリケーション(Adobe CS)の設定とデータの取り扱い
1~3は比較的取り入れやすいものですが、4~6はそれ相応の設備とテクニックが必要になります。1~3には、例えば下記のようなものがあるので、すぐに出来そうなことから始めてみましょう。
1. 室内の照明(蛍光灯)は、
・高演色性蛍光灯(5000K・昼光色/Ra90以上)を使用する。
・デスクライトにRa90以上を使用するのもOKです。
※K=ケルビンは色温度の単位で、色温度は紙白と同じが理想です。
蛍光灯の色温度はパッケージなどに記載されています。
2. 作業スペース・デスク周辺の環境は、
・安定した光源を確保する。
・できるだけ無彩色の机や壁にする。
(色が影響しないように)
・外光を遮るカーテンを使用する。
(光の入り具合で色が変わるため)
・デスク周りを整理する。
3. ディスプレイの選び方
ディスプレイパネルの種類は、
・IPSパネル(視野角178度・見る角度によって色が変わらない)
・VAパネル
・TNパネル(視野角160度・見る角度によって色が変わる)
がありますが、視野角の広い「IPSパネル」がオススメだそうです。
※パネルの種類は、メーカーのスペック表などに記載されています。
4~6は、各種デバイスの調整とデータの運用になります。
・ディスプレイはキャリブレーションをして、色温度と輝度を
調整し、黄味と青味を紙白のターゲットに近づける。
・ディスプレイとプリンタのプロファイルを正しく設定し適用する。
・データのプロファイルを正しく運用する。
など、正しく調整するための知識とテクニックが必要です。
デバイスの調整で大切なことは「トータルバランス」。
1点豪華主義でいくら高価な良いディスプレイを買ったとしても、キャリブレーションを行わなければ意味がない、とのこと。3~6はハードルが高いですが、導入する場合はセットで検討した方がよさそうです。
ここまで学んで、私はディスプレイと印刷の色の違いについては、普段あまりストレスを感じていいないことに気づきました。おそらく今までの経験から、印刷の色味を予想しながら作業することには慣れていたからでしょう。また、PDFファイルでの校正が増えたため、最近では自分で確認する以外にプリンタで出力する機会はほとんどなくなったことも大きいです。
それでも、厳密な色調整が必要なデータを扱う場合には、こういった設定は必要不可欠です。ここまでしっかりとした設定を行うことによって、かなり近い色味を表現できる作業環境は仕事の精度を高めてくれます。案件や予算などと照らし合わせて “どこまでやるか” という今後の参考にもなりました。
今回の勉強会に参加して、カラーマネージメントに関して断片的だった知識の全体像を把握できたことが一番の収穫です。先ずはデスク周りの小さなことから始めてみたいですね。
写真は、会場で配布された「RGBプリンタ」と「CMYKプリンタ」の出力サンプルです。それぞれ上段が「ドライバデフォルト設定」、下段が「ユーザ作成プロファイル適用」の出力です。プロファイルが適用されたものは、かなり忠実に色味が再現されているのが解ります。 |