2012年5月1日火曜日

『生誕100年 ジャクソン・ポロック』展を鑑賞。


生誕100年 ジャクソン・ポロック
東京国立近代美術館本館で開催されている
『生誕100年 ジャクソン・ポロック』展を観てきました。
今回が、ポロックの日本初となる回顧展です。

ポロックといえば、抽象表現主義の代表的な画家で
流動性の塗料を画面に流し込むポーリング(pouring)の
技法を使用し、中心、地、図、の区別もない、
オールオーバー(allover)な構成で制作していました。

彼のポーリングは、
・ネイティブアメリカンの砂絵
・ダビッド・アルファロ・シケイロスの実験工房
・シュルレアリスムのオートマティスム(自動筆記)
という主に3つの要素で成立しています。

今回の展覧会は、彼の“生涯”と“作品”を感じることができる
滅多に観ることのできない充実の内容になっていました。
ポーリングの作品をはじめ、各国から集められた作品群、
展示の目玉である『インディアンレッドの地の壁画』は、
観客を圧倒します。

ポロックが美術を学び始めてから
44歳で亡くなるまで、その間わずか29年でした。
その上、アルコール依存症や精神分析の治療を受けていたり
描けない時期もあったりで、創作期間は長くはありません。

あらゆるプレッシャーや、アルコール依存症の再発等で
様々な手法を模索していた時期の作品を観ると、
そのすべてと凝縮された人生が伝わってくるようで
時に息苦しさを覚えるほどです。

重要な項目を年表にしてみました。
★「ジャクソン・ポロック」簡略年表
1912年  米国ワイオミング州コディ生まれる。
1927年  この頃飲酒を始める。
1928年  美術の基礎を学び始める。
1930年  NYに移り、
     「アート・スチューデンツ・リーグ」で学ぶ。
1933年  ディエゴ・リベラがNYで壁画制作する姿を観る。
1937年  精神科でアルコール依存症の治療を受け始める。
1942年~ ポーリングの技法を用い始める。
1944年  初の美術館(MoMA)からの買い上げ。
1954年~ ほとんど制作しなくなる(できなくなる)。
1955年  再び精神分析治療を始める。
1956年  8月11日、飲酒運転で交通事故死。享年44歳。

美術関連の年表に「この頃飲酒を始める」とあるのは、
彼の創作に、お酒の影響は切っても切れないものなの
だからでしょう。

ジャクソン・ポロックのアトリエ床再現ジャクソン・ポロックのアトリエ再現
展示会場には、ポロックのアトリエの一部が
再現されていました。
もちろん複製ですが、写真に撮るとちょっと本物っぽい!?
(※こちらは、撮影OKでした。)

ジャクソン・ポロックが使用していた塗料
そしてポロックが使用していた塗料。左から、
・デュポン社のデュコ(ラッカー)、
・デヴォー&レイノルズ社のエナメル塗料、
・ピッツバーグ社のエナメル塗料、
・ピッツバーグ社のアルミニウム塗料、
・デヴォー&レイノルズ社の塗料(種類不明)

『生誕100年 ジャクソン・ポロック展』は、
5月6日(日)まで開催されています。