オープンの混雑が落ち着いた頃、渋谷ヒカリエ8階「8/(ハチ)」にある
・「d47MUSEUM」
・「d47 design travel store」
・「d47食堂」
に行ってきました。
ここは「D&DEPARTMENT」の新プロジェクトです。以前よりナガオカケンメイさんの「D&DEPARTMENT PROJECT」の活動に関心があったので、今回の「d47」のオープンをとても楽しみにしていました。
「d47MUSEUM」ではオープニングエキシビションの『NIPPON DESIGN TRAVEL – 47都道府県のデザイン旅行』展を鑑賞しました。こちらは47の展示台があり「47都道府県の情報を知る事ができる」ギャラリーです。ここでは「観光・食事・お茶・買物・宿泊・人」という6つの視点によって選ばれたものが展示されていました。
ナガオカさんと「D&DEPARTMENT」のフィルターを通して選ばれたものは、伝統工芸的なものだけでなく、新しいプロジェクトや取り組みの紹介もあり、この取り合わせ自体が “手術台の上のミシンとこうもり傘の美しい出会い” 的な刺激であり、かと言ってそちら方向だけに偏ったものにはしない、絶妙なバランス感覚です。思わず手に取りたくなるようなものも多くありました。(※会場全体の写真撮影はOKでした。)
ナガオカさんは「d47」オープンにあたって、
・「東京に住んで、地方の仕事なんて絶対に出来る訳が無い」
・「今度は、東京が地方からクリエイションを学ぶ番」
と言われていて、その言葉がとても印象に残っています。
実際、ナガオカさんは日本中のあちこちに足を運んで、作り手やモノ、サービスに出会い、ご自分で確認されたものを選びとっていらっしゃいますが、こういう「確かさ」は、昨今の「やがて情報は無料になるが、体験にはお金を払う」というイメージに微妙に通じている印象、「腑に落ちる裏付け」のように私は感じました。(※誤解のないように、二つの言葉にまつわる全文は、ナガオカケンメイさんの4月29日のFacebookでご確認ください。)
「d47 design travel store」では、展示されていたものを実際に買うことができるショップが併設されています。そこにあるものを手に取って現地の風景に想いを馳せる……そんな豊かな想像体験が意外と楽しい。高価なもの・安くても良質な食材など各種ありましたが、暮らしを豊かにするのは、「持ち物の数や価格ではなく、こういう価値観に束ねられた多様性」かもしれません。「選択出来る」はそれ自体、「自由」だと思うのです。
「d47食堂」では、大阪の旬野菜のだし煮込み定食をいただきました。日本各地から集められた陶器・浄法寺の漆腕と、素材そのものを活かしたお料理の組み合わせ。「絶妙なマッチングって発見だな」と、「奇をてらった組み合わせだけが刺激ではないんだな」と、再確認してみたり。
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「旬野菜のだし煮込み定食」1,500円。大阪文化のお出汁で
煮込んだ旬野菜と、牛すじの土手焼と泉州水なすの小鉢。
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イギリスのビートルズやローリング・ストーンズの誕生に、ブルースというアメリカの古いブラック・ミュージックが大きく貢献しています。「何故、ブルース発祥のアメリカではなく、イギリスからこのような新しいムーブメントが発生したのか」とインタビュアーに尋ねられたシカゴ・ブルースの大御所、マディ・ウォーターズは「当時のアメリカの音楽シーンは、家に沢山食べ物があるのに裏庭で泣いている子供のようだった」と応えています。
「日本全国、その地に特有の豊かさがあるのだから、
“裏庭で泣いている子供” になってはいけない」
そんなことを、マディ・ウォーターズの言葉と共に各県の展示やショップを観ながら思いました。
地域のデザインを通して、もう一度日本を見つめ直す機会となる『NIPPON DESIGN TRAVEL – 47都道府県のデザイン旅行』展は、5月28日(月)まで開催されています。
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