
gggで開催されている『ロトチェンコ 彗星のごとく、
ロシア・アヴァンギャルドの寵児』展を観てきました。
アレクサンドル・ロトチェンコは、
ロシア構成主義の創始者の一人であり、
ロシア・アヴァンギャルド芸術家の中でも際立った存在です。
彼の活動は、絵画、グラフィック、写真だけではなく、
立体、建築、インテリア、家具など、広範囲に及びました。
1922年からは、グラフィックに傾注し、
未来派の代表的詩人、ウラジーミル・マヤコフスキーと共に
50点程のポスター、100点程の看板や広告塔、その他雑誌、
新聞、パッケージ、広告などをデザインしています。
そして1924年からは本格的に写真表現を模索し、
「遠近短縮法」「上から下へ」「下から上へ」と言われる
極端な視点からの撮影など、多くの実験を繰り返しました。
私がロトチェンコに惹かれるのは、多くの作品はもちろん、
その活動のどれもが実験精神に溢れ、挑戦の連続だったことと
制作方法に、グラフィックの原点を見ることができるからです。
その中でも、構成主義のグラフィックデザインの特徴のひとつ
「フォトモンタージュ」は、それまでのデザインのやり方に
大きな変革をもたらし、大きく前進しました。
「グリッド・レイアウト」を用いた彼のコンポジションは、
構成の幾何学的図式とレイアウトに従い考え抜かれたもので、
今でも廃れていない技法のひとつです。
ポスターなどでは、マヤコフスキーの強烈なコピーが加わり、
広告を見た人に衝撃を与え、記憶に残すことにも成功しました。
この年代のポスターは手描きで、随所に苦心の跡が見られます。
今ではコンピュータとソフトで簡単に制作できそうなものでも、
それには到底かなわない何かを感じることもできました。
今回の展覧会の展示内容に加えて、
副監修の矢萩喜從郎さんによる会場構成やポスター、
カタログなどの一連のデザインも非常に優れたものでした。
●展示会場の様子は、こちらのサイトにあります。
【ggg】ロトチェンコ展会場写真アップしました。
●ギャラリートークのアーカイブはこちらです。
USTREAM: gggロトチェンコ展 ギャラリートーク矢萩喜從郎
『ロトチェンコ 彗星のごとく、
ロシア・アヴァンギャルドの寵児』展は、3/27日に終了しました。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー