『DTPの勉強会 第20回』に参加してきました。
今回のテーマは「トーンカーブを『設計』しよう」です。
★トーンカーブを「設計」しよう
~なんとなく操作していた方のためのトーンカーブの基本~
☆スピーカー
レタッチ・印刷ディレクション・撮影・執筆他。
鰯屋代表。blog: やもめも
○内容
1. Photoshopカラー設定とカラーマネジメント
Adobe語たっぷりのカラー設定の読み方、設定方法と、
ディスプレイや周辺環境について。
2. トーンカーブの読み方、操作方法
カーブの作り方や動かし方について。
カーブの読み方から、どこに点を打つべきなのか、
どういうカーブを作ったら良いのかなど。
3. 色調補正に必要な選択範囲、トーンカーブのTIPS
補正のための選択範囲作成について。
トーンカーブをうまく使った補正のTIPS紹介。
「トーンカーブ」とは、Photoshopの画像補正機能のひとつで、画像の明るさやコントラストを調整する際に使用するものです。
今回、登壇された村上さんは、写真の専門学校を卒業後に印刷業界に入られた方です。写真と印刷双方の特性を理解されているので、どうすれば「『見た目』がいい感じに印刷、または表示されるか」について、多くの解をお持ちです。
そんな村上さんから、今回の勉強会では周辺環境の準備を始めとする、Photoshopの設定や操作方法まで、詳細な説明がありました。
Photoshopには「色調補正」一つを取っても多様な機能が搭載されており、「どの機能をどの手順で操作するか」によって結果が大きく変わってきます。
例えば、頻繁に使われる補正に「明るさを変える」というものがあります。トーンカーブを使用して明るさを変える手順は下記のようになりますが、「なぜその操作が必要なのか、順番が違うとどうなるのか」など、理解した上で操作したいものです。
■明るさを変える手順
1. カーブ端点を操作する
2. 最初にコントロールポイントを打つ位置を見極める
柔らかく仕上げたいなら左側を最初に、
鮮やかにしたいなら右側を最初に打ちます。
順番が違うと印象もかなり変わります。
3. 明暗別に操作する
明るめのところと暗めのところを別々に見て補正する。
この操作説明で私が印象に残ったのは、「S字カーブは忘れる」ということです。長年「トーンカーブ」といえば、「S字を作る」というのが定石でした。そのため「S字」にならないと、補正が上手くいっていないような気になったりしていましたが、すべての写真が「S字」にあてはまるとは限りません。その辺りの見極めに印象や感覚は大きく影響されますが、それ自体は自然な思考の流れでしょう。しかし、仕事である限り、感覚以外に知っておかなくてはならない事、他に検討すべき視座が多くあります。
今回の勉強会では、周辺環境の設定から画像の検証、Photoshopの設定と操作など、写真と補正に関するテクニックが網羅されていました。「トーンカーブへの理解を深める」ために、「明るさコントラスト」「レベル補正」「露光量」を、あえて「トーンカーブに置き換えて考えてみる」という興味深いアプローチがあり、RGBをそれぞれ補正して「グレーから肌色を作る」という面白い試みもありました。この方法を使って、グレーで絵を描いて、トーンカーブで色を着けることもできるそうです。
Photoshopの多種多様な機能によって、デザイナーは無数の選択肢を得ましたが、より良い結果を導くために、「どのような方法をどのような手順で進めたらいいのか、どのように考えるのがベストなのか」を身につけて、本能としておく事が重要です。今回の勉強会ではその本能に磨きをかける、非常に重要な視点を数多くいただきました。操作方法や考え方を再検討し、今後の制作にも役立てていきたいと思います。
![]() |
今回の勉強会で配布されたもの。『+DESIGNING vol.39』に掲載された「トーンカーブを設計しよう!」より、出版社の許可を得て抜粋されたページ。RGBモードで補正する際に使用するカード。「パントン・ライティング・インディケーター・ステッカー」と使用説明書。 |
グラフィックデザイン:DESIGN+SLIM
───────────────────
●DTPの勉強会【DTPの勉強会第20回】(2016年2月20日開催)
前回参加した『DTPの勉強会』の記事はこちら